梅雨と畑とホタル の巻

 

梅雨の晴れ間です。外では、緑がぐんぐん冴えてきます。

家のまわりの竹は、伸びすぎても困るので小さいうちに切るのですが、一本、大木のように、天まで届けとばかり、大木のように伸びちゃっています。

わが家のそばの梅林は、ご近所の方のものですが、きょうは梅取りに見えている様子。おしゃべりの声が聞こえてきます。

梅雨とは、梅が実る頃の雨、という意味がよくわかりますね。

春先、梅林のやさしい香りがふんわりただよってきます。

 

先日うちに久しぶりに遊びに来てくれた若いお友達が言っていましたが、松本では、今年は鳥が元気、なんだそうです。そういえば、確かに鳥がよく鳴きます。ずいぶん耳が遠くなって、連れが、「鳥が鳴いてる」と言っても、「ええ? 聞こえない」と言う始末なので、実際はもっとたくさん鳴いているのでしょう。

 

今年は、例年よりたくさん蝶も舞っています。

あ、オオムラサキ! 久しぶりに華麗な蝶をみました。

山の中に越してから18年。

越したばかりの頃と比べて、ものすごく昆虫が減りました。

 

以前は、夜台所の窓ガラスの外側に、様々な蛾がびっしり張り付いていました。

コクワガタがしょっちゅう家の中にまではいりこんでいました。

朝歩いた時にはなかったのに、午後同じ場所に壮大なクモの巣が張ってあるのに気がつかないで、顔とか頭に、わあっと引っかかることも、よくありました。

トマト畑には、クモの巣がびっしり。すごかった。

台所に小さい虫が飛んできて困るので、ハエトリガミをつるしていたら、いろんな小さい羽虫が、びっしりはりつきました。ちょっと残酷な眺めではありましたが。網戸はもちろんしていますが、入ってきたのです。

 

でも今は、その必要はまったくなくなりました。虫のすがたがほとんどきえました。クモも、ものすごく減りました.餌の虫がいないのですからね、クモもやっていけません。地球温暖化のせい? 農薬のせい?

 

ここ数カ月の人間の活動の自粛で、空気がきれいになったと言われます。

仕事で街に出かけている娘も、空気がきれいになったと言います。

「でも、自粛が終わったから、またきたなくなってきた。」と言っていました。

中国でも空気がきれいになったそうですね。

イギリスの大学などの国際研究グループが、4月、世界の二酸化炭素排出量が、前年比で17%減少したと発表しました。

インドのガンジス川も、沿川の工場の操業停止で、ものすごくきれいになったというニュースも見ました。

 

ところで、最近わたしの住む山里では、シカやイノシシに荒らされるので、みなさんが畑に柵を巡らせるようになりました。

わたしも、さきごろ、玄関前の小さな空き地に、トマト、きゅうり、ナス、ピーマンの苗を植えました。獣がでることと、足が弱ってよく歩けないことで、玄関前につくったのです。

前はもっといろいろ畑に作っていたのですけどね。

 

以前いた「あやの里」では、鶏も飼っていました。こちらでも飼いたいのですが、なにしろよたよたなので、ちょっと無理みたいです。とても残念です。

身動きできない小さなゲージで一生を過ごす、卵産み機械のようにされている鶏のことを思うと、鶏は飼いたいのです。

鶏がどれほど草が好きか、どれほど元気に歩き回るか、人間にどれほどなつくか、そして一羽、一羽性格がちがうことも、よく知っています。

鶏は、どんな残飯や野菜くずも食べてくれるし、チキントラクター」と言われるほど、雑草を食べてくれる。すばらしい生活の同伴者なのです。

庭では犬と猫と鶏が同居して、「ブレーメンの音楽隊」状態になったりして、たのしかったものです。鶏がいちばんいばっていましたね。

 

先日、連れが言いました。「山羊を飼いたいな」って。「ええ? 山羊? 飼ってどうするの?」と聞きましたら、「ペット」ですって!

山羊を飼えば、草刈りは不要になります。たしかに、それはいいかもしれない。

でも、世話はだれがするの?「わたしはできないからね。」とクギをさしておきました。生きものを飼うということは、原野ではありませんから、世話が必要です。まあ、今でも忙しすぎるぐらいなのに、気の多いお方ですこと!

 

連れは、このところ、毎夕のように、仕事から帰ってきて、ごはんをそそくさと食べて、一寝入りしてから、源氏ボタルの生息調査に出かけています。松本市内と、旧四賀村の二ヶ所でやっています。いちばんホタルが出るのは、旧四賀村の、人が住まなくなった地域の小さい川。

そこでは、ホタルがたくさん舞って感動的なんです。ただし、街灯もなくて真っ暗なので、連れは、「のっぺらぼうが出るかもしれん。」とか言って、一人で行くのをいやがるので、わたしもよくつきあっていました。わたしが行けない時は、犬を連れてホタル調査に行っていましたが、今は、わたしもうちの老犬も、どちらもよたよたで、お化けよけの役に立たなくなりました。

でも、2,3日前、ホタル調査の最後の日、「きょうは、みんなが集まるから、行こうや。」と誘うので、久しぶりに、老犬といっしょにホタル調査についていきました。車で20分くらいのところです。

まあ、ホタルのものすごいこと! 川向こうの、真っ暗な小高い茂みをバックに、たくさんの源氏ボタルが飛びかっていました。ホタルは川のこちら側にもとんできて、目の前をすいと飛びます。久しぶりに夜の森と川のにおいにつつまれて、遠い縄文時代のことを思いました。