2021-01-01から1年間の記事一覧

あやの里だより №41 村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき 』 ⓷

太平洋戦争の火ぶたが切られたあと、父が離隊した歩兵第20連隊は、フィリピン攻撃に向かった。12月、ルソン島に上陸を試みようとして、米比軍の激しい抵抗にあい、多大な犠牲を出した。ルソン島に上陸すると、すぐにバターン半島(ルソン島中西部の半島)攻…

あやの里だより №40 村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき 』 ②

一度だけ、父は息子に、自分の属していた部隊が、捕虜の中国兵を処刑したことがあると、語ったことがあった。作家がまだ小学校の低学年のころだ。 父はそのときの処刑の様子を淡々と語った。 「中国兵は、自分が殺されるとわかっていても、騒ぎもせず、恐が…

あやの里だより №39 村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき 』 ⓵ 

村上春樹さんが、自分の父親のこと、そして、自分と父親との関わりについて書いた、手のひらに載るような小さな本。素朴な雰囲気の挿絵がたっぷりついている。(『猫を棄てる 父親について語るとき 』2020年刊) 小説と違う文体。物語性を一切排除した、淡々…

あやの里だより №38 豆腐屋さんと自家製厚揚げの巻

購読している新聞に、自家製厚揚げの作り方が載っていた。それを読んで、意欲をもやした! 80歳でも、あたらしいことに挑戦なのだ(#^.^#)! 実は、18年前、隣部落の実家「あやの里」(これは、わたしが母親の名から、かってに名づけたもの)に引っ越したばか…

あやの里だより №37 村上春樹『職業としての小説家』 

最近読んでおもしろかった本の一冊に、村上春樹のエッセイ集『職業としての小説家』があります。わたしは村上春樹が好きで、彼の作品はほとんど読んできました。 大江健三郎も好きだったんですね。でも、まわりには、大江さんが好き、という人はほとんどいま…