憲法さん 大好き バーバのつぶやき 1

実は、わたくしめ、憲法さんにぞっこんなんですよ。だれでも落ちこんだ時は、憲法さんに声をかければ、いいんですよ。憲法さんは心がひろいですからね。

でも、こんなに憲法さんに入れ込むようになってから、まだ日が浅いんです。前は、憲法さんのことがよくわかっていませんでしたからね。まあ、まだ勉強中の身でありましてね、今でもそんなによくはわかっておりませんけど…。

 

日本国憲法の三つの原則って、知ってます? 「主権は国民にある」ということと「平和主義」ということと「基本的人権の尊重」って言われてるでしょ。

でも、この三つの原則の上に、肝心かなめの大原理があって、それが、個人の尊重、ということだったんですねえ。

三つの原則って、まず、わたしたちこそが国の主人公で、国のことを自分たちで決められる、ってことですわね。つぎに、わたしたちは平和じゃなきゃ生きていけないってことだし、それから、どんな人にもその人らしく生きる権利が保障される、ってことですわね。

じゃあ、それは、なんのためか、って言うと、わたしたち一人ひとりの幸福のためにだった、ってことになりますわ。なるほどねえ。

そう考えると、おらほの憲法様って、ほんと、すごいですわねえ。

憲法さんの第13条にも、ちゃんと書いてありましたわ。

「すべて国民は個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

 

法律ですからね、ちょっと堅苦しいけど、立派じゃあありませんか。やっぱりほれぼれしますねえ。つまり、わたしたちは、一人ひとり「生命と幸福追求の権利」が保障されてるんですねえ。

 

ところで、ですね、個人の尊重って、一言で言うけど、具体的に言ったら、どういうことなんでしょうねえ。

一人ひとりを尊重するってね、だれでも自分勝手していい、ってことじゃないですよ。ちゃんと13条で「公共の福祉に反しない限り」って、念をおしてたでしょ。12条でも「濫用(らんよう)」するな、やたらに権利をふりまわしちゃいけないと言ってますわ。

「公共の福祉」って、「みんなの幸せ」って、意味ですよね。つまり、憲法さんは、あなたを個人として尊重するけど、それは、ほかの人の幸福を邪魔しない限りだよ、って、バチッとクギをさしてるんですよ。

これも、憲法さんのえらいところですねえ。自分がいくら人を殴りたい、と思っても、殴られる人の身になりなさいよ、お互いどうし大事にしあいなさいよ、って言ってるんですね。だからいわゆる「利己主義」―自分さえよければいい、ってのと、ぜーんぜんちがうんですよね。

 

でもねえ、さらに言いますとね、どんな人でも個人として大切にされる、って、どういうことでしょうね? バーバもね、勉強して少しわかってきたんですけどね、人って、みんなちがうでしょ。好きなことも、何が幸せかってことも、人さまざまですよね。ほんとうに…。ごきぶりを飼うのが好きな人だっているんですよ! それでも、ほかの人に迷惑をかけないかぎりは、その人の自由を認めてあげないといけない、ってことでしょうね、たぶん。

そしてね、どんな人でも、ということは、社長だとか、金持ちだとか、学校の成績がいいとか、スポーツができるとかいう人だけじゃなくて、貧乏でも、学校の成績が悪くても、病気でも、身体に障害があっても、大切な存在だってことになりますよね。それに、だれだって、いつ交通事故にあって障害者になるかもしれないし、重い病気になるかわからないし、だれでもみ~んな年寄りになるでしょ。

 

まだ大事なことがありましたわ。世の中は、おおむね力のある人や多数意見の人が力を持っているでしょ。国会でも、会社でも、組合でも、学校でも、それから家の中でも、親と子ども、男と女の間でもね。

でもね、どんな人でも尊重される、ってことは、力の弱い人や、少数意見の人も、大切にしなきゃいけないよ、ってことになりますよ。わたくしめも、そうなんだ、ってわかったときは、感動しましたよ。

ですからねえ、自分のことを、頭が悪くて、だらしがなくて、なさけないだめな人間だと思っている人でも、それでも、あんたは大切な人だ、自分らしく、好きなように生きていいんだよ、って憲法さんは言ってくれてるんです。

わたくしめもね、はあ~、おらって、どうしようもねえ、なさけねえバカだって、ちょくちょく落ちこむんですけどね、それでもいいんだよ、がんばりな、って憲法さんがそっと励ましてくれるんですよ。すごいと思いません?

 
 

そんなわけでね、「個人の尊重」が今の憲法さんの大原理であるってことは、つくづく、大切なことだと思うんですね!

次号も読んでくださるかしらん。

まだ言いたいことがいろいろあるのよ。