80歳の門出と避難勧告

 初めての80歳!

 7月13日は、わたくしめの80歳の誕生日でした。

 ああ、ついに!

 70代というのと80代というのとは、とても気分がちがいます。

 

 夕食の用意をほぼすませたころ、連れが帰ってきて、「買ってきた!」というので、買い物袋をあけてみると…。なんと「夢に見た」ウナギのかば焼きと、お刺身が入っているではありませんか。ウナギは2割引きでしたけど…。(娘にそう言うと、「2割引き!半額やないなんて、すごいやん!」と言いました。)

 

 私自身は、スーパーのかば焼きコーナーは、のぞきもしません。だって、お高すぎますもの。何しろの金欠です。

 でも、家で話題にしたことはあったのです。

「スーパーに、うなぎたんと並んでたわ。売れるんかなあ。」(人(お店)の心配せんでよろしい!)

 「年に一回ぐらい食べたいなあ。」とかは、時々言っています。スーパーでお刺身コーナーを見ると、いつもお金持ちがいるんやなあと思いつつ、素通りして、安いお魚を買います。

 

さて、これまで連れがわたしの誕生日に何か買ってきたことはありません。

(あ、誕生日のこと、覚えてたんや、)と鰻とお刺身に感激しました。

2割引きのかばやきは、半分にすると、5㎝四方くらいのかわいいものでしたが、まことにおいしかったです。

お刺身は、タイやまぐろなど、いろいろ入っていて、1000円もしませんが、正価!だし、わが家にとっては豪華絢爛! とてもおいしくいただきました。

 

ちょっとお酒の入った連れは、「80年もよう長生きしたなあ」と言って、「ハッピバースデイ ツウユウ」と歌ってくれました。

まあ、連れと暮すようになってからの25年ほど、腹の立つことも山ほどあり、深い谷もあり、険しい道のりでしたが、この「ハッピバースデイ ツウユウ」で、昔のいろいろは忘れることにしました。

(ちなみに私は再婚です。補足しておきますが、連れはわたしより10歳年下なので、もうすぐ古希を迎えます。)

 

こうして、めでたく80歳に突入したわけですが、いつまで生きるかわからないものの、世は前途多難な時代に入りました。

 はじめて経験する「避難勧告」!

 この町は、犀川という、信濃川に通じる大きな河のそばにあります。

 8日の朝のことです。前の日から降り続いていた雨が、まだ激しく降っていて不安に思っていたところ、ついに市から避難勧告がだされました。

 

 今の家は背中に山というほどのものではないのですが、ゆるい斜面を背負っています。そう危なく見えないのですが、水の通り道になっているのか、とても湿っぽい、粘土質の土地柄です。

連れは、川や水のことを勉強したことがあり、少々詳しい。ここは地滑りの可能性があるから、やはり避難した方がいいと言います。

そこで、はじめて、リュックに緊急用のものを詰めていたら、雨が小降りになったので、避難はやめましたが、連れは、あの強い雨がもう少し長くつづいたらあぶなかった、と言っていました。

 

その日の昼頃、連れは、犀川を車で見に行きました。物見高い性質のわたしも、もうすこし若ければ見に行っていたのですが、何しろのバーバなので、行きませんでした。

しばらくして帰ってきて「こわかった」と言っていました。あとで、報道写真で見ると、もう堤防すれすれまで水があがっていました。

犀川のすぐそばの地区の人には、避難指示が出されました。一部で、水があふれたようです。でも、大したことにならなくてよかったです。そこここに知り合いがいますから。

 

もし土砂災害にあっていたら、どんなにたいへんだったろうと、つくづく思いました。現に先日の大雨で九州では大きな災害が出ました。

長野市でも、去年、犀川の氾濫による大きな被害が出ました。

被害にあわれた人の大変さが思われます。

でも、今後、どこで、いつ、どんな災害に見舞われるか、わかりません。

 

 現在、人間を脅かしている最大の問題の一つは、「温暖化」とそれに伴う異常気象、災害の多発の問題ですね。海水面の上昇は、過去100年で何と19センチにもなるとか。南太平洋の島々では土地の侵食で、移住も余儀なくされていますね。

もう一つは、人間がつくりだしてしまったものの、人間の手に余る「核=核兵器原発」の問題。

それだけでもたいへんなのに、それにプラスして、感染症の問題も出てきたわけです。今の新型コロナ禍がいつ終息するか、先が見えないだけでなく、新たな感染症に見舞われる危険も多いと言われますね。

 

 ダメ出しのように世界を襲った新型コロナの問題を考えると、今ある社会、生活をこのまま続けることはできないよ、覚悟しなさい、という自然からの警告、戒めのように思えてならないのですね。 

 これまでとは違う社会のあり方を模索する必要がある。80代への突入は、そんな時代の始まりと重なりました。