自然よ あなたは美しい   夏の風と立原道造

         

 さあっと、夏らしい、とてもさわやかな風が、へやの中を吹き抜けていきました。

 

一軒家に近いわたしの小さな家は、緑に囲まれています。

梅雨明けのその日、あちこちの窓をすべて開け放ちました。

ものみな、かびてしまいそうな長梅雨でした。異常気象の現われでもありましょう、

またもや集中豪雨による水害が、かの最上川流域で起こり、コロナ禍は勢いを増して、まるで地球全体が憂いと迷いに閉ざされたかのような日々がつづいています。

 

風は、わたしを、過ぎ去ったなつかしい過去の世界に引き戻しました。

わたしは、ふいに今までの鬱屈を解かれて、本来の自分にもどったような気がしました。

とても安らかな気持…。

 

自然よ、あなたは美しい。

 

そして、そうだ、立原道造が、美しい詩をかいていたなあと思いだしました。

 立原道造は、100年ほど前の詩人です。結核のため24歳で亡くなりました。

(1914年・大正3年~1939年・昭和14年

 

ひとり林に…… 立原道造

だれも 見てゐ(い)ないのに
咲いてゐる 花と花
だれも きいてゐないのに
啼いてゐる 鳥と鳥

通りおくれた雲が 梢の
空たかく ながされて行く
青い青いあそこには 風が
さやさや すぎるのだら(ろ)う

草の葉には 草の葉のかげ
うごかないそれの ふかみには
てんた(と)うむしが ねむつてゐる
うたふやうな沈黙(しじま)に ひたり
私の胸は 溢れる泉! かたく
脈打つひびきが時を すすめる

 

 

 

ベランダで洗濯物をほしていると、オニヤンマが飛んできました。なんと立派なオニヤンマ。でっかくて、威風堂々。緑の大きな目がきらきら輝いています。

オニヤンマはわたしのそばをぶいんと飛んで、いったん家の中にはいり、あれあれ、と思っていたら、また外に出て、どこかへと飛んでいきました。

ひさしぶりに見たオニヤンマ。

 

庭では黄蝶もまっています。

梅雨明けで、ミンミンゼミも朝から鳴き出しました。

 

玄関前の小さな畑で作業をしようとしたら、なんと、麦わら帽のひさしに、小さなクモが巣をはっていました!

 

人はみんな、美しい自然のなかで、自然と共に生きるべきだろう、と思いました。

 

 

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ウイキペディア より